介護士はとても社会的に意義のある重要な仕事にも関わらず、世間一般の評価はあまり高くなく、医療・介護間での地位も低いように思われます。また、介護福祉士は国家資格にも関わらず、名称独占のみで業務独占にはいたっていないことから資格としての意義も少ないように感じられます。
入所施設の介護士は、24時間365日ご利用者の介護をすることになります。また、ご家族との面会や家族会もあり、人間関係の構築をしていきます。認知症の方が事故や終末期になった場合、医師からご家族へ治療方法の相談があります。その際、ご家族の方は動揺されたり、医療に関する知識不足もあり、迷われてしまうことがあります。介護施設契約時、管理者またはケアマネージャーが事前指示書を作製しておけば、ご家族と一緒になり、ご本人の尊厳を守れるようになります。ご本人、ご家族の思いはその時々の状態・状況によって変わります。事前指示書は1年に1回見直す必要があります。
施設の管理者は、24時間365日ご利用者に何か特変があれば対応しなくてはならなく、肉体的にも精神的にも非常にストレスのかかる職務です。このような大変過酷な勤務を傍で感じている職員は、キャリアアップへの不安を感じています。介護の仕事はみなさんの保険・税金から賄われている仕事であり、処遇改善手当が経験や資格によって毎年上がり、地方公務員の平均年収まで上がることを保証すれば、若い人材の将来への不安が解消され離職率の低下、継続的な雇用に繋がると思います。
これらの評価を変える取り組みをすることにより、介護の評価を向上させ、介護人材確保につなげ、福山の介護をより良くしていきましょう。
平成27年国勢調査の結果、全国の産業で「医療、福祉」は第3位の就業者を閉め、福山もまた「医療、福祉」が13.1%と第3位です。
また、高齢者数・高齢化率は今後も増え続け、介護職員の不足も深刻になると予想されています。
こういった背景から介護離職も社会問題となっています。介護事業所には介護に関する研修が義務付けられていますが、すべての方に生涯学習として介護保険制度、認知症またはエンドオブライフケア(終末期医療・介護)等の研修、介護施設への外部研修導入が必要だと思います。これらの理解により、介護離職も減少するでしょう。
また、介護事業は規制緩和されましたが、介護保険制度により多くの規制があることにより、民間で自由な改革は難しいのが現状です。そこで、市が積極的に介護施設と手を取り合い、介護施設の現場で働いている職員の困っている事を真摯に聞き、早急に様々な改善案を実施する必要があります。
他の市の取り組みとして、神奈川県横須賀市は「わたしの終活登録」という事業を開始し、救急搬送時や死後、登録された情報を開示し、本人の意思の実現を支援しています。
神奈川県大和市でも「おひとり様などの終活支援事業」で、葬儀や遺品整理などの手配の支援をしています。
愛知県北名古屋市の「エンディングサポート事業」では、身寄りのない高齢者の葬儀などの生前契約をサポートしています。エンディングノートも、同市のホームページで公開しています。
各市との横の繋がりを大切にし、少しでも良い取り組みは参考にし、また新たに必要な取り組みを積極的に実施していく必要があります。
介護施設は未だ紙媒体のみの記録等、ITやAIの導入が一般企業より遅い傾向にあり、人材不足にも関わらず業務の効率化がされていない施設があります。福山市が積極的にシステム導入のアドバイスまたは必要なシステムを作製して提供・推進し、介護職員の負担軽減、質の向上をする必要があります。
介護施設の労働人口不足は深刻であり、今後外国人労働者の採用が多くなってきます。しかし、介護施設は小規模な施設が多く、かつ外国人労働者採用のノウハウも無いため、各企業・事業所のみで外国人労働者の研修や生活支援をすることは困難であると推測されます。市として他国から助けにきて下さった人々をストレスなく親切・丁寧に援助していくべきです。
超高齢化社会になり、介護予防が市の重要な課題となっています。福山市でも2020年からフレイルチェック会を各地域で定期的に実施し、介護予防に取り組んでいますが、半年に一回、計4回で終了となり、本当に必要となってくる年齢には参加できなくなっています。継続的にフレイル予防を最寄りの交流館で出来るようにすることが大切になってきます。